僕が信長の野望オンラインを始めたのは
飛龍時代の末期
会社を辞めて
親父が死んで
引っ越して
新しい会社に入って
環境の激変で呆然としてた僕のとこに
連れが来て勝手にパソコンにインストールしていったのが最初
そいつが風雲徳川だったから
それだけの理由で士官した徳川
オンラインゲームなんてまるで知らなくて
画面の向こうに人がいるのが怖くて
陰陽師が一人でネズミ狩って蛇狩って
ちょっと遠出をしようものなら
蛙に叩き殺され雨女に嬲られ虎に噛まれ
寝落ちした墓場で真っ白な灰になって
なんだよこれ面白くねえYO
連れに愚痴ったら
PLに連れてってくれて
暇だから準備したら意味もなくぶっ殺されて
怒られて
岡崎を歩いてたら突然呼び止められて
知らない人からいきなり服あげる、って
お金なんかないから付与もできないけど
でもうれしくて野良狩りに着て行って
ぼろぼろになるまでその服着てて
やっと半人前になったころ
気が付けば僕は合戦場にいた
当時の徳川は織田家と同盟し
敵うはずもない強者斉藤家に
それでもなぜか毎週のように合戦を仕掛けて
小牧山の悪夢の坂を駆け上がり
開始1時間で門前封鎖され
本営から味方本陣に向かうまでに叩かれ殺され
2倍負け到達までどれだけ粘れるかが勝負な負け戦で
間違いなく合戦場にいるより三河尾張を走ってる時間のほうが長いのに
それでも
狂ったように墓場と関所を往復し
勝てるはずのない合戦場に向かって
訳も分からずに走っていた
半人前だった僕が
必死でLVを上げ
潜在を育て
涙を求めて千引を彷徨い
雫を探して空を練り歩き
やっと一人前になった頃
それでも僕はやっぱり合戦場にいた
遠い存在だった先達も
いつしか戦友に変わり
仲間となり
気が付けば
合戦廃と呼ばれる
キチガイの仲間入りをしてた
合戦場は目的の場所だった
閉鎖的な空間かもしれない
排他的な空気もあっただろう
でも
そこまで積み重ねてきた
共有した時間と労苦を思えば
そうならざるを得ない
特別な場所だった
合戦場に地図なんかなかった頃
伝令、陣図、対話、防衛、対人、合体、サポ、ゲリラ
流れるログの意味すらわからない
今よりもっと合戦の敷居が高かった頃
誰もが最初から合戦の主力だったわけじゃない
だけど
合戦場にいれば
ただ居続けさえすれば
気が付けば仲間になっていた
負け戦の中
それでも泣きながら走った戦友は
特別な仲間となった
そんな仲間も
一人
二人
三人
消えては現れ
また消えていく
でも
合戦場に行きさえすれば
暖かい家が待っていた
おせえよ
どんだけ待たせるんだ
合戦始まってるぞ
そんな笑い声がいつでも返ってきた
特別な場所だった
いまや
過去になってしまった
あの小牧山も
大井川も
萌黄時代の甲斐信濃の激戦も
すべては遠い世界のお話として
でも
今も俺の胸の中に生きてる
もう
戻れない
遠い場所ではあるけれど
時間の浪費だったと
思う人は思えばいい
でも
俺には
かけがえのない時間だった
陳腐だけど
みんな
ほんとに
ありがとう
お疲れ様でした
またいつかどこかで
# by yang6104 | 2012-08-21 14:37